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髄膜炎患者から分離されるエンテロウイルスの型は年ごとに入れ替わるのが常であるが,1989〜1991年は3年連続してエコーウイルス30型(E30)が首位であり,とくに3年目の1991年は単一の型の年間検出数として最高を記録した(図1,2)。E30は1983年に全国的流行があり,その後1988年までは散発または局地的発生が数地域から報告されるにとどまっていた
(本月報第12巻第8号参照)。
感染症サーベイランス情報における1991年の一定点当たり無菌性髄膜炎患者年間報告数は13.91となり,1989年9.25,1990年6.65を大きく上回り,1983年19.35に次ぐ発生となった。患者発生のピークは例年どおり7月であったが,この月の一定点当たり患者数はきわめて高く3.95で,10月まで高いレベル(同1.79)が続いた(図1)。
1991年の患者の年齢は0〜4歳33%,5〜9歳51%,10歳以上16%と5歳以上の割合が大きかった(図3)。
E30の分離は1991年1月以降少数の報告が続いたのち,患者報告と一致して6月に急増し,7月をピークとして6月から10月まで毎月400以上が報告された(表4−本号21ページ下段)。1991年のE30分離報告は4,055で,このうち2,973(臨床症状が報告された数の83.5%)が無菌性髄膜炎から分離された。これは無菌性髄膜炎からのエンテロウイルス検出報告の89.4%である(図2)。
報告機関別にみると(表1),1989年は中国四国,近畿を中心に,1990年は多くの地域で検出され,さらに1991年は全国的に検出数が増加した。
E30検出例の年齢分布(表2)は4〜7歳が中心で,この年齢群が1991年は53%であった。1991年は0歳児が286例(7%)報告され,特に新生児105,1ヵ月児71,2ヵ月児27と過去3シーズンと比べて3ヵ月未満の割合(5%)の増加がめだった(1983年3%,89年1%,90年3%)。15歳以上からの分離が2.5%報告された。
E30は髄液から検出される例が多い(表3)。
1992年1月以降の髄膜炎関連ウイルス分離状況(7月20日現在報告数)はE30が32(髄膜炎患者19・表4参照),E6が51(13),E9が16(9),E24が2(2),CA9が6(3),CB1が14(4),CB2が8(1),CB3が16(1),CB4が16(1)である。
図1.無菌性髄膜炎患者発生状況とエンテロウイルス検出状況 1989年1月〜1992年6月
図2.髄膜炎患者から検出されたエンテロウイルスの型別割合 1989〜1991年
図3.年齢別無菌性髄膜炎患者発生状況(感染症サーベイランス情報)
表1.年別報告機関別エコー30検出状況 1989〜1991年
表2.エコー30検出例の年齢分布
表3.検体の種類別エコー30検出状況
表4.月別報告機関別エコー30検出状況(1991年1月〜1992年6月)
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