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Vol.13 (1992/11[153])

<国内情報>
神戸港湾地区におけるハンタウイルス汚染調査


 1989年から1992年にかけて,神戸港湾地区で捕獲されたネズミ(ほとんどドブネズミ)のハンタウイルス浸淫調査を行った。

 腎症候性出血熱ウイルスB1株感染Vero E6細胞を抗原とした間接蛍光抗体法でIgG血清抗体価を測定し,16倍希釈以上を陽性とした。

 1989年にはネズミ54頭中21頭が,1990年には17頭中7頭が,1991年には67頭中29頭がハンタウイルス抗体陽性で,陽性率はそれぞれ38.9,41.2,43.3%であった。1992年は捕獲数は少ないが,6頭中5頭が抗体を保有していた。このうち,89年,90年度分は,抗体価は比較的低く1頭だけが1,000倍以上だったが,91年には2頭が,92年には4頭が1,000倍以上の高抗体価であった。とくに昨年から本年にかけて抗体価が1万倍以上というネズミ4頭が特定の1地区から捕獲された。肺臓,腎臓等からのウイルス分離を試みたが,これまでのところ陰性であった。

 かつて神戸検疫所が実施した1977年から1986年にかけてのハンタウイルス汚染ネズミの実態調査によると,1977年から1984年には,合計472頭を調べて年次陽性率は6〜20%で,1985,1986年には41頭中陽性ネズミは検出していない。

 以上より,神戸港湾地区では,いったん低下しているかに見えたハンタウイルス汚染が最近になって拡大している可能性があり,今後とも追跡,監視をする必要がある。



神戸市環境保健研究所 松山 雅子
神戸検疫所輸入食品−検疫検査センター 水田 英生





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