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1991年度のつつが虫病様患者調査票は1992年8月末までに23機関から762枚回収された(表1)。このうちつつが虫病患者は,血清検査で陽性であったもの561,リケッチアを分離したもの6,臨床診断のみのもの13の計580であった(表4参照)。これらについて感染地域別・月別患者発生数,感染推定場所と立ち入り目的−作業内容等,血清診断に用いられた抗体測定法について解析した。
患者発生状況:つつが虫病様患者とされた580についてみると,感染場所となった地域は29都府県にわたっている。調査票未着県からの患者もあるが,これは秋田大学など報告機関によっては他県の患者についても検査しているためである。患者発生は秋田,千葉,神奈川,新潟,宮崎で多い。患者発生が多いとされている鹿児島が少ないが,これは調査票未回収例が多いためである。いずれの地域でも,患者発生は10〜12月,特に11月に集中しているが,東北・北陸地方では4〜5月にも山があり,青森,宮城,秋田,新潟ではこの時期の発生が10〜12月よりも多い。患者の性差をみると,茨城,静岡で男性,大分で女性が多い傾向にあるが,全体では差はほとんどない(表2)。
感染推定場所・作業内容:感染推定場所および感染時の立ち入り目的,作業内容等をみると,場所では山地が207と最も多く,次いで農地の155であり,これらで全体のほぼ60%を占めている。また,作業内容では農作業が179と最も多く,ついで山作業の102であり,行楽は39であった(表3)。
血清検査法:血清抗体測定は,ほとんどの機関が免疫蛍光法(IF)を実施しており,免疫ペルオキシダーゼ法(IP)は秋田大学および2〜3の機関のみである。補体結合反応(CF)やワイル・フェリックス反応(WF)は民間の検査機関によるものが多いが,ほとんどの場合IFまたはIPによる抗体測定を同時に行っている。すでに述べたが,血清抗体測定の結果,つつが虫病と診断されたものが561,再採取血清がないため抗体上昇の確認ができなかったもの,残存抗体と判定されたもの,抗体価が低いため判定保留となったもの,陰性とされたものが計182あった。そのほか,血清検査成績のないものでつつが虫病患者として届けられたもの(リケッチア分離,臨床診断)は計19あった(表4)。
事務局 予研・萩原 敏且
衛生微生物技術協議会検査情報委員会
つつが虫病小委員会
表1.1991年つつが虫様患者調査票報告枚数(1992年8月末現在)
表2.1991年つつが虫様患者報告数(1992年8月末現在)
表3.1991年つつが虫様患者報告数(1992年8月末現在)
表4.1991年つつが虫様患者検査成績(1992年8月末現在)
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