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Vol.13 (1992/12[154])

<国内情報>
エコーウイルス24型による無菌性髄膜炎の流行および新生児集団感染例−香川県


 無菌性髄膜炎は,起因ウイルスをかえて例年のごとくその流行をみるが,今回周辺県域にみられず香川県域にのみ限局されたエコーウイルス24型(以下E24)の流行が確認された。E24は1983年に全国的に無菌性髄膜炎から分離された(香川県下ではエコーウイルス30型であった)が,これ以来の発生とみられ,また,E24の分離は香川県下では初めてである。

 6月2日今季無菌性髄膜炎の流行で初めてE24を分離,以降継続して現在(10月末)までに189株(分離材料由来別では髄液169株,咽頭拭い液13株,糞便7株)を分離した。また,同時期の無菌性髄膜炎以外の疾患名からのE24分離も58株(発熱30株,呼吸器系疾患10株,脳−脊髄炎10株,発疹6株,胃腸炎2株)で,総計247株が分離同定された。

 今季流行は,6月初旬西香川地域から始まり,7月に入って県下全域にわたった。感染症サーベイランス一定点当たりの患者数から流行をみると5月1.33人,6月2.67人,7月9.00人,8月7.67人,9月3.00人で7月〜8月をピークとし,それ以降現在も,減少傾向にあるものの患者発生がみられ,それに伴いE24も分離されている。

 E24の分離された無菌性髄膜炎患者189人を年齢別にみると,0歳24人,1歳7人,2歳7人,3歳17人,4歳35人,5歳25人,6歳20人,7歳13人,8歳16人,9歳9人,10歳16人であった。

 また8月,E24による新生児の院内感染例を経験した。5例をウイルス分離と抗体価の有意上昇で確認した。発症は生後3〜10日,発熱を主徴とし発熱期間3〜4日で,髄膜刺激症状は認められず,症状は軽く予後は良好であった。

 ウイルス分離に用いた細胞はRD,FL,HeLa,HEL細胞で,E24は従来のエコーウイルス同様にRD,HEL細胞に高い感受性を示した。



香川県衛生研究所 三木 一男,藤井 康三,池尻 久仁子,山西 重機
国立療養所香川小児病院 岡田 隆滋


 無菌性髄膜炎などからのエコーウイルス24型の分離状況(1992)





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