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1992年1月から12月までの1年間に,感染症サーベイランス定点医療機関から送付された溶連菌感染症患者の咽頭擦過材料について溶血性レンサ球菌検査を実施した結果,124検体中74検体(74株)から溶血性レンサ球菌が検出され,その検出率は59.7%であった(1991年は69.7%)。
定点外医療機関からの分離株65株を加えた139株について,群別と型別検査を実施した結果,A群137株(98.6%),G群2株であった。なお,1991年にはA群165株(97.6%),B群2株およびG群2株が検出された。A群レンサ球菌137株のT型別の結果,T−4型は57株(41.6%),T−1型は32株(23.4%)であった。
1991年と比較して,T−3型は1.2%から7.3%と若干増加したが,T−12型は20.6%から6.6%と減少した。一方,主要流行菌型であるT−4型は40.0%から41.6%,T−1型は23.0%から23.4%と昨年並みの検出率であった。
昨年,T−1型,T−12型の出現頻度が上昇する兆しが見られ,今年,主要流行菌型の交代が予測されたが,1987年以降主要流行菌型を続けているT−4型が昨年と同様に第1位の出現頻度であった。
今後,T−4型あるいはT−1型の菌型推移に注目していきたい。
神奈川県衛生研究所 松島 章喜,鈴木 理恵子
表.溶血性レンサ球菌分離同定成績(対象疾病:溶連菌感染症)1991年〜1992年
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