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Vol.14 (1993/3[157])

<外国情報>
輸入狂犬病の2例−フランス


 1990年12月,メキシコを旅行中の若い男女が犬に咬まれた。47日後,男性が発熱,下痢,その後動作不穏,恐水症でフランスの病院で死亡。脳の剖検材料の蛍光抗体法で狂犬病が確認された。診断後,ただちに連れの女性に血清療法およびワクチンを投与したところ症状は全く出なかった。

 1992年4月,アルジェリアに住む3歳半の子供が恐水症でパリの病院に入院。症状発現25日後に死亡した。死後の検索により狂犬病が確定した。

 1968年以来,フランスではヒトの狂犬病は発生していない。家畜からの感染が疑われた9,661例のうち5,005例(61%)およびげっ歯類から感染したと思われた361例に処置が施された。げっ歯類は,フランスでは狂犬病の感染サイクルに入っているとはみなされていないが,予防的な狂犬病ワクチンの投与が,感染する可能性の高い職業従事者に行われている。しかし,この投与を犬の狂犬病が流行している地域,特に熱帯の長期滞在旅行者に拡大する必要がある。短期に旅行する場合も,犬に咬まれた時の対策についてアドバイスを受けるべきであろう。

(WHO,WER,67,No.48,361,1992)






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