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英国グラスゴーの病因でSalmonella Typhimuriumによる院内感染が発生した。発端は糖尿病性昏睡で緊急入院し12時間後に死亡した62歳の男性で,入院時にすでに本菌に感染し,周囲に感染を広げたと推察された。患者の死後,この患者と同時期に救急病棟に入院した2名の患者および救急病棟に勤務した5名の看護婦が相次いで発症し,S.Typhimuriumが検出された。調査の結果,同病因勤務の6名の看護婦,1名の医師および1名のX線技師が無症状保菌者になっていることが判明した。さらに,保菌者の看護婦の娘(1歳)が発症し,菌が検出された。初発患者から最終患者発生まで9日を経過し,流行は終息した。発症者および保菌者の間に共通の飲食物は見出されず,検食調査の結果も陰性であった。
患者保菌者あわせて17名中16名の分離菌を調べた結果,いずれもS.Typhimuriumファージ型208で,サルファ剤,テトラサイクリン,トリメトプリム耐性であった。本菌はまた,68MDaのF1meプラスミドを持っており,F1meプラスミドと菌の毒力との関係から,院内感染にとっては注意すべき菌と思われる。
(CDSC,CDR,3,RNo.3,R40,1993)
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