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Vol.14 (1993/7[161])

<外国情報>
破傷風の死亡例,1991−米国・オハイオ


 1991年7月,80歳の女性が中部オハイオの救急病院に顎硬直および嚥下困難で受診した。検査の結果,やや不明瞭な話し方および開口困難を認めたが,呼吸困難は認められなかった。1週間前にレンギョウの灌木の切れ端が向こうずねに突き刺さり,傷口は発赤し,可能部分には排膿管をつけた。救急病院の医師は破傷風と診断し,入院させた。破傷風免疫グロブリン(3,000単位)および破傷風トキソイド(0.5cc),また,患者はペニシリンアレルギーであったので静注クリンダマイシンで治療した。

 患者は破傷風ワクチン歴はなかった。彼女は1960年に足首の骨折時の創傷感染の治療を受けていた。さらに,高血圧およびその他の障害で定期的に診療を受けていた。

 患者の臨床症状は次第に悪化し,全身硬直が進行したため,酸素吸入が必要となった。その後2週間にトレモロ,筋肉痙攣,腹部硬直,無呼吸,肺炎および脚創傷の局所感染に対する治療が行われた。積極的な治療にもかかわらず,患者は8月5日に死亡した。

 この症例の結果,Occupational Health Nurses in Agricultural Communities(OHNAC)プロジェクトの一部として,成人への破傷風ワクチン接種を広げるための教育活動を設けた。この教育効果によって,1991年8月から1992年7月までに破傷風ワクチン接種を受けた成人の数(79)は前年(52)の51%増となった。

(CDC,MMWR,42,No.8,148,1993)






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