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Vol.14 (1993/9[163])

<外国情報>
ロシアにおけるジフテリアの流行


 現在,ロシアでジフテリアが流行している。1992年の患者発生数は3,897(2.6/10万),死者80にくらべ,患者の急増が注目されている。発生報告の多くはサンクトペテルブルク(17.0/10万)およびモスクワ(8.6/10万)で,隣国のウクライナでも多数の患者発生をみた。患者はすべての年齢層で発生している。1993年1〜6月のロシアでの患者発生は,すでに1,200名以上が報告された。フィンランド,ノルウェー,ポーランド,エストニア,ベラルーシ,ラトビア,リトアニアの各国では,ロシアあるいはウクライナで罹患した輸入ジフテリアの報告が相次いでいる。ロシアの友人を訪問したベルギーの女性(60歳代)が帰国後ジフテリアで死亡したとの報告もある。

 WHOでは,ロシアへの旅行者に対して,ジフテリアの予防接種を受けるよう呼びかけている。ジフテリアトキソイド混合ワクチン(DPTなど)の接種後10年以上経過した人に対しては1回の追加接種でよいが,接種歴のはっきりしない人および幼児期にワクチン接種を受けなかった人は,少なくとも4週間隔で2回の接種を受けるべきであるとしている。なお,3回目の接種は6カ月以降に受けることを勧めている。

(WHO,WER,68,No.19,134,1993 CDSC,CDR,3,No.29,129&No.32,145,1993)

<病原微生物検出情報編集委員からのコメント>

 1993年1〜5月に報告されたわが国のジフテリア患者発生数は5(前年同期は0),死者1である。患者は青森,広島,鳥取および大分の各県で発生し,患者年齢は1歳2名,2歳,22歳,54歳各1名であった。その他発生状況についての正確な情報は得ていない。






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