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1991年,英国中部のノーサンプトンシアの病院で新しい型のメチシリン耐性ブドウ球菌が流行した。この菌はEMRSA−16と記載された。ペニシリン,エリスロマイシン,リンコマイシン,シプロフロキサシン,ゲンタマイシン,トリメトプリムの各薬剤に耐性,テトラサイクリン,フシジン酸,ミュピロシン,クロラムフェニコール,リファンピシン,バンコマイシンに感受性であった。ファージ型は29/52/75/83A,集落は無色,ウレアーゼ,プロテインAおよびエンテロトキシンAを産生した。
(CDSC,CDR,3,No.6,25,1993)
EMRSA−16は,1992年前半までは前述したノーサンプトンシアの1病院以外からは検出されなかった。その後英国のStaphylococcus Reference Laboratoryに報告されたところによると,1992年の第1四半期には同地区の8病院で,第2四半期には英国南部の10病院で同菌が検出され,1993年5月までに報告病院数は32を数えた。1992年10月以降の月間検出数は50を超え,1991年以降の検出総数は1,000以上となった。分離菌の多くは患者が保菌していたものだったが,中には重症患者からの例もあった。現在,英国の中部以南でEMRSA−16の流行が拡がっているので,本菌が疑われたら分離菌をレファレンスラボに送付し,感染対策チームのアドバイスと支援を受けるよう呼びかけている。
(CDSC,CDR,3,No.27,121,1993)
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