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世界の総人口約53億4千万人はマラリアの流行状況および居住区によって以下の3つに分けられる。@マラリアの常在地区。主に熱帯アフリカ。流行状況は基本的に変わっていない。人口の9%,4億9千万人が住む,A流行はかなり弱まったか終息したが,政治・経済状況,環境条件が不安定あるいは悪化しており,再流行が起こりうる地区。人口の33%,17億5千万人が住む,Bマラリア非発生地区で,31億人,58%が住む。以上のような背景からマラリア患者発生のWHOへの報告は表1のように,ここ数年はほとんど低下の兆しはみられず,むしろ上昇傾向にある。
熱帯アフリカ,東アジア,オセアニア,アマゾン地区において優占種である熱帯熱マラリアは感染すると劇症になるか死亡者をみる。中でもアフリカでは多くの人が熱帯熱マラリアで死亡している。熱帯アフリカの外周囲の地区では特別の治療が行われていない地区,特に熱帯熱マラリアの感染に免疫のないものの間で死亡が起こっている。このようなマラリアによる世界での死亡数は概算で年間150〜300万人みられるが,それらの多くはアフリカ人である。5歳以下の子供の間(もちろんこれらのあるものはマラリアのみが原因ではないが)では,約100万人がマラリアによって死亡している。
図1は世界を(A)アフリカ,中国を含まない地区,(B)アフリカ,中国,インドを含まない地区に分け,ならびにインド,中国のマラリア患者報告数の年次別の変動を見たものであるが,Aのカーブにおいて1976年に患者数が上昇しているのは,1976年インドにおいてマラリア患者が大規模に再発したことに影響があることが示されている。それに比べて中国では1991年にいまだに10万2千人の患者が報告されているが,1984年に90万4千人もの患者報告があったことを考えると,素晴らしい低下率である。
(WHO,WER,68,No.34,245&No.35,253,1993)
Table 1 Number of malaria cases reported, by WHO Region, 1983-1991
Fig.1 Number of malaria cases reorted, 1964-1991
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