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Vol.14 (1993/11[165])

<外国情報>
HCV:職業上の感染の危険性への対処−英国


 HCVの診断法が1989年に確立して以来,全輸血血清,慢性肝疾患患者はもとより,場所によっては不顕性患者についてもHCV抗体検査が行われるようになった。その結果,暴露事故が起こった際に,その感染源がHCV抗体陽性であるか否かが判明している場合もあり得るようになってきた。

 これまでにロンドン市内の病院の医療従事者が暴露され保存されていた感染源血清を調べたところ,HCVへの暴露はHBVやHIVよりも高頻度に起こりうることが判明した。HCVは血液以外の体液にも存在すると考えられ,実験的には患者唾液による伝播も示唆されている。統計的に歯科医や口腔外科医においてHCV抗体保有率が高いことが報告されているが,一般の医療従事者が対照群と比べて特にHCV保有率が高値であることは認められていない。

 現在のところ,市販のHCV抗体検査キットは特異性と感度に問題があり費用もかかるし,HCVへの暴露が判明したところで有効な予防法もない。従って,経皮的に暴露された場合の対処法としては,感染源となった血清および暴露された医療従事者の暴露後の初回血清は保存するのみで,暴露から最低6カ月後の血清でHCV抗体検査を行うことを勧める。HCV抗体陽転化が起こった場合に,過去にさかのぼって保存血清の検査を行えばよい。また暴露された後に,ヒト正常免疫グロブリンまたはHBIGを予防のため投与することは勧められない(HCV抗体に中和能があるとはまだ認められておらず,またグロブリン製剤による非A非B肝炎の感染が知られている)。

(CDSC,CDR,3,RNo.10,R135,1993)






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