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カリブ海のタークス・カイコス諸島で1992年9月〜1993年2月にかけて17例の肝炎患者が報告された。過去13年間にカリブ疫学センターに報告されている年平均患者数は1〜2人なので,17人は集団発生である。うち最近の6例は,すでに米国CDCでIgM抗体検査によりA型肝炎(HA)と診断された。
残る11例について危険因子を調べるため,近隣の住人を用いてcase-control studyを行った。患者の男女比は6:5,年齢は6例が5〜14歳,5例が20代半ば〜30代後半であった。CDCで診断された例も含め,患者,対照群,患者の家族から合計72本の血清を採取し,HAに対するIgM抗体を調べた。CARECのラボで7例が陽性と判定された。4例はCDCでも確認された患者,1例は別の9歳の患者,2例は患者の家族であった。先にCDCで診断された他の2例も含め,合計9例がHAと確認された。うち7例は子供であった。
明らかな危険因子は見つからず,数ヵ月にわたり発症日が分散している,島には共通の水源がない,生貝を食べた者もいない等の事実から,共通の感染源による流行ではないと結論された。患者家族に2例の不顕性感染者が確認されたことから,ヒト−ヒト感染がまだ続いている可能性はある。
(CAREC Surveillance Report,19,bS,1993)
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