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Vol.15 (1994/3[169])

<外国情報>
ハンタウイルス呼吸器症候群,1993−米国


 米国で新しく発見されたハンタウイルスによる呼吸器症候群(HPS)について,1993年5月1日〜12月31日までの状況をまとめた。

 CDCに報告された患者数は53である。患者は12〜69歳で,60%が20〜39歳,57%が男性,49%がアメリカインディアンである。死亡率は60%である。患者が報告された州は14州にわたり,64%がアリゾナ,コロラド,ニューメキシコの住民である。

 HPSの病原ウイルスは,血清診断,PCR,免疫組織化学的手法により同定され,RNAシークエンスからハンタウイルスの新しい型であることが明らかになった。

 11月に,ニューメキシコの患者居住地周辺のシカネズミ(Peromyscus maniculatus)から,肺材料を未感染のシカネズミで2回継代し,Vero E6細胞に接種することにより,ウイルス分離が成功した。このウイルスの遺伝子配列は,同一動物および患者から直接PCRで増幅したものと一致した。同時期に,米国陸軍医療研究機関でもニューメキシコの患者とカリフォルニアのネズミからウイルスを分離した。慣例にならい,発見された地域の特徴にちなんで,Muerto Canyon virusという名前が提唱されている。

 他のハンタウイルスに比べて,Muerto Canyon virusは,男女に同程度に感染し,致命率が10倍以上高いのが特徴である。

 CDCでは,州の衛生局の実験担当者を対象に,大腸菌で発現したMuerto Canyon virusの核蛋白抗原を用いた迅速診断のトレーニングコースを予定している。

(CDC,MMWR,43,bR,45,1994)






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