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1993年12月1日の世界エイズデーの時点でイングランドとウェールズで8,000人のエイズ患者が報告されている。このうち約3/4は25〜44歳の人で,エイズによる15〜64歳の男性の死亡は,生涯労働時間の損失の急速な上昇を社会にもたらしている。女性のそれによる死亡は男性より少ないが,それでも増加している。1991年の男性の若年死による全生涯労働時間の損失のうちエイズによる死亡は2%を占めている。その割合は低いが,他の原因による死亡は一定か減少傾向にあるのに対し,エイズによるそれは顕著に増加している。米国では1991年にエイズは全死亡原因の9番目で,25〜44歳に限れば3番目であったが,その後増加し現在は不慮の事故に次ぎ2番目となっている。
1993年初頭にはアフリカのサハラ以南におけるエイズ患者は150万人にのぼるとWHOは推定している。1993年の世界エイズデーの標語は“今行動を起こす時”である。WHOは全世界の1,400万人のHIV感染者に対する対策,人々にエイズに対する知識と予防法の教育,偏見の排除,HIV大流行の現実を直視することを訴えている。
(CDSC,CDR,3,48,219,1993)
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