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本情報1月号(Vol. 15,bP)で,宮崎県でコクサッキーウイルスA24型変異株(CA24v)によるAHCの流行の報告があったが,鹿児島県でも宮崎県西部に接した地域(姶良郡吉松町)や県中央部の薩摩郡薩摩町などから,1993年10月5日〜10月7日にかけて4件の結膜ぬぐい液が搬入され,そのうち吉松町の42歳の女性からCA24vを検出した。しかし,同患者の子供(13歳女児)や近くに住む18歳の女性,薩摩町の9歳の男児からは同ウイルスは検出されなかった。
検出方法は,HeLa,RD-18S等の細胞に接種したが,1検体のみからこれらの細胞でCPEが見られた。これを当所保存のエンテロウイルス抗血清で中和反応を行ったが,いずれも陰性であったため,念のためアデノ1〜8型についても調べたがこれらにも陰性であった。しかし,RD-18S,HeLa両細胞でのCPEの出方や,臨床症状などから,エンテロウイルス70またはCA24の可能性が大きいと考え,宮崎県衛生環境研究所に問い合わせたところ,宮崎県ではCA24vと考えられるAHCの流行があり,ウイルスの分離,同定をしたということであった。そこで,われわれは宮崎県よりCA24v抗血清の分与を受け,中和反応を実施したところ,これに反応した。
このようなことから,1993年に鹿児島県内ではAHCの大きな流行はなかったものの,原因ウイルスはCA24vによるものであった可能性が大きいと考える。
鹿児島県衛生研究所 平川 浩資,山之内 成子
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