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本来は鳥類(ゴイサギ,ダイサギ,コサギ,チュウサギ,アオサギ等)の口腔ならびに咽頭,食道などに寄生するClinostomum属吸虫の第一中間宿主はモノアラガイ,第二中間宿主は淡水魚(フナ,コイ,バラタナゴ,カマツカ,ヤリタナゴ,モツゴ,ドジョウ等)でもって生活環が回転している。被嚢幼虫はそれら淡水魚の皮下あるいは筋肉内に寄生する。被嚢幼虫が皮下に寄生した場合は黄色の腫瘤が形成されるので,土ellow grub煤i黄色いウジ)の名称で魚病として水産関係者間で注目されていた。ところが,ヒトがこれらの淡水魚を生食することによって,人体でもその咽頭あるいは喉頭部に5mm前後の成虫が寄生し,急性の炎症(軽度の咽頭痛,咽頭異物感,咳嗽,嚥下痛等),すなわち寄生虫性咽喉頭炎(Parasitic laryngopharyngitis)を起こすことがわが国でも報告されている。このような寄生虫性咽喉頭炎はわが国ではあまり一般的ではないが,中近東では動物の内蔵を生食するため寄生虫感染が起こり,Halzoun(咽頭吸虫症)と呼ばれ,その原因虫としてClinostomum属吸虫以外にヒル類や肝蛭があげられている。
わが国では表に示すように,その人体症例は現在14例が秋田,岐阜,愛知,滋賀,大阪,富山,島根,福岡,熊本,長崎,佐賀の各県から報告されており,男性(4例)よりも女性(10例)の感染者が多く見られている。
予研寄生動物部 影井 昇
わが国におけるClinostomum属吸虫の人体寄生例
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