HOME 目次 記事一覧 索引 操作方法 上へ 前へ 次へ

Vol.15 (1994/7[173])

<外国情報>
破傷風,1993−米国・カンザス


1993年,2例の破傷風事例がカンザスで報告された。これはカンザスでは1987年以来のことである。

 患者1:5月16日,慢性閉塞性肺疾患および再発性肺炎の病歴を持つ82歳の男性が,息切れ,起床不能のため緊急治療施設で受診した。5月15日には咀嚼および嚥下困難になり,開口障害が,また,14日の転倒による右肘擦過傷があったことが認められた。破傷風が疑われ入院した。この患者はワクチンを受けていなかった。破傷風トキソイド(0.5cc)および破傷風免疫グロブリン(TIG,10,000単位)が接種された。入院中破傷風痙攣を起こし,呼吸障害および肺炎を起こした。機械呼吸器をつけ,抗生物質,利尿剤および神経筋遮断薬治療を受けた。6月23日全快し,退院した。入院治療費は151,492ドルであった。

患者2:8月15日,インスリン非依存性糖尿病の57歳の男性が緊急治療施設で,錆びた釘をふんだ足の穿刺傷の清浄および破傷風トキソイド(0.5cc)を受けた。18日,傷の激痛,発熱,寒気,嘔吐が始まり,19日に入院し,フレグモーネの治療を受けた。20日疼痛および頸部硬直を訴えた。その後心肺停止したが,蘇生し,機械呼吸装置が付けられた。破傷風と診断され,特別治療施設に移された。21日TIG(500単位)が投与され,23日創傷の再切除が行われた。入院中,不安定高血圧および不整脈が認められた。9月16日心停止で死亡した。破傷風トキソイドは受けていなかった。治療費の総計は145,329ドルであった。

(CDC,MMWR,43,17,309,1994)






前へ 次へ
copyright
IASR