1993年９月１〜９日に１家族５名およびその関係者２名が高熱，頭痛，インフルエンザ様症状を呈したのち，９月21〜27日に髄膜脳炎で入院した。ペア血清のＨＩ（１：80→１：1280）および中和抗体価（１：32→１：256）の上昇でダニ媒介脳炎と診断された。患者全員は２匹のヤギの乳を日常的に煮沸せずに飲んでいた。ヤギはダニの多い地域に放牧されており，ヤギの乳および血液からウイルスは分離されなかったが，１匹はＨＩおよび中和抗体を保有していた。

　ダニ媒介脳炎は二相性ミルク熱，二相性髄膜脳炎としても知られる。ウイルスはフラビウイルス科に属し，主にマダニ属が媒介する。スロバキアでは毎年15〜20例がダニ媒介脳炎と診断されており，1984年４例，1989年２例がヤギ生乳に関連していた。

（ＷＨＯ，ＷＥＲ，69，��19，140，1994）