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1993年10月13日,14日におたふくかぜの患者発生が桃園県の同じ幼稚園(園児数54)から6例報告されたので,感染ルートとMMRワクチンの効果を知るために,9月1日〜10月25日までの間の患者発生状況を調べた。調査の方法は全園児を対象にしたアンケートで,回収率は100%であった。
背景:9月初めに患者が出たので,他の園児たちにワクチン接種を行った。患者は10月中旬に集中し,合計15人であった。
感染ルート:ウイルスは唾液の飛沫によって広がり,感染は患者との接触が最も重要な要因である。一緒に食事をしたり,遊んだりすることが感染を引き起こした。同じ幼稚園バスの利用などは感染の要因としては低い。
ワクチンの効果:54人中11人がすでに感染しているか,9月1日以前にワクチン接種を受けているので,これらを除く43人が感受性群であった。感受性群と非感受性群を比較したところ,MMR接種の有無だけに統計上有意な差がみられた。すなわち,9月1日以前に予防接種したグループの発症率は0%で,全員感染を免れた。9月1日以後に接種したグループの発症率は11%,全く予防接種を受けなかったグループの発症率は75%で,予防接種した群は全く接種しなかった群よりも低い発症率を示した。
子供のムンプスは比較的良性の疾患であるが,その予防,感染対策,報告システムは満足のゆくものではない。適切な時期の予防接種のみが効果的な防御方法であり,ウイルスに暴露された後と考えられる場合でも,まだ発病していない子供に対しては有効である。
(台湾疫情報導,10,bR,25,1994)
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