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Vol.15 (1994/10[176])

<国内情報>
エコーウイルス33型の分離−愛知県


今年の6月下旬から7月上旬にかけて愛知県東部において新生児の間で熱性疾患,無菌性髄膜炎が多発しているとの情報があり,そのうち1名が全身感染を起こして死亡した。この死亡例の各種臓器および,エンテロウイルス感染症と思われる患者の糞便と咽頭ぬぐい液が搬入されたので,定法に従い検査を行った。

 ウイルスが分離された患者は表1に示した。

 検査した患者のうち4名からわが国では極めて珍しいエコーウイルス33型(E33)が分離された。4名はいずれも生後3日から5日の新生児で,親も抗体を持っていなかったために移行抗体がなかったものと思われる。

死亡例では髄液をはじめ,小腸,脳,心臓,腎臓,肝臓,膵臓からE33が分離され,他の3名は糞便からウイルスが分離された(脳から分離されたウイルスについてはさらに検討中である)。

愛知県内の他の地区からの情報では成人においても無菌性髄膜炎が多発しているとのことで,E33は愛知県内各所で,年齢的にもかなり広範囲にわたって広がっているのではないかと思われる。

我々はウイルス分離にHeLa細胞とRD-18S細胞を使用しているが,分離されたのはRD-18S細胞のみであった。ウイルス力価は106〜107TCID50/25μlと高かった。

E33はエンテロプール血清の中には入っていないので,この血清群では同定されないはずであるが,予研分与のエンテロプール血清ではOプールが抑制される場合がある。また,予研分与のE33抗血清は20Unitsでは抑制できない場合があり,注意を要する。我々は50Unitsの抗血清を用いて中和試験を行っている。



愛知県衛生研究所
栄 賢司,山下 照夫,佐藤 克彦


表1.エコーウイルス33型分離患者一覧表





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