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Vol.15 (1994/10[176])

<国内情報>
エコーウイルス9型の流行について−大分県


1994年夏期の大分県におけるエコーウイルス9型(E9)の流行状況についてその概要を報告する。E9は無菌性髄膜炎(AM)を中心とする疾患から9月14日現在で36株分離同定されている(表1)。また,感染症サーベイランス情報によると,本県における今夏のAMの流行は,定点あたりの患者数が,5月に0.44人,6月に0.89人,7月に2.00人と,6月から7月にかけて増加傾向にある。

この間,大分市内の小児科サーベイランス定点において,AM患者から7月に80検体,8月183検体,9月は14日現在までに35検体の髄液,口腔ぬぐい液,糞便など計298検体が採取され,これらの検体から,9月14日現在までに39株のエンテロウイルスを分離同定した(表2)。

ウイルス分離には,HEp-2,BGM,Vero,RD-18S細胞の4種類を併用し,培養は1週間単位で2代までブラインド継代(blind passage)を行った。月別の分離状況は,7月にコクサッキーウイルス(C)B2型が1株,CB5が3株,E9が5株の計9株で,8月はCB5が6株,E9が24株の計30株であった(表2)。

CB群は主にHEp-2細胞から,E9はBGM細胞から細胞接種後3〜4日後にCPEを示し,分離同定できた。

 各検体からの分離率は,髄液が77.8%と最も多く,次いで口腔ぬぐい液13.3%,糞便8.9%であった。なお,E9が分離された患者36名の年齢層は0〜14歳で,平均年齢は4歳であった。また,臨床症状は発熱,髄膜炎,ヘルパンギーナ等が主症状であった。

9月14日現在,BGM細胞から分離され,未同定のものが10株程あるが,大部分がE9と思われ,本県の今季のAMの主原因になるものと考えられる。



大分県衛生環境研究センター
中田 高史,小河 正雄,小野 哲郎


表1 エコーウイルス9型の分離状況
表2 無菌性髄膜炎患者からのウイルス分離状況





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