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Vol.15 (1994/12[178])

<国内情報>
1993年つつが虫病様患者集計報告


全国地方衛生研究所より送付された「つつが虫病様患者調査票」をもとに,1993年の全国におけるつつが虫病の発生状況の集計を行った。

1)つつが虫病の月別・県別発生状況

つつが虫病様患者調査票は23都県,2指定都市の衛研から合計866件送付された。1993年は鹿児島県からの報告があり,報告件数は例年より大幅に増加した(表1)。866件のうち,つつが虫病患者(抗体陽性および臨床診断により届け出られたもの,表5参照)は573名であった(表2)。全国における月別つつが虫病発生状況をみると,青森,岩手,宮城,秋田,山形の東北地方の各県と新潟県は,5月をピークとして4月〜6月に多く,群馬,千葉,神奈川,富山,岐阜,長崎,大分,宮崎,鹿児島等は11月をピークとして10月〜12月に多い。全国的にみると,二峰性の月別発生パターンは例年と同じである。

 県別つつが虫病発生についてみると,年間20例以上の多発県は秋田,千葉,神奈川,新潟,岐阜,長崎,大分,宮崎,鹿児島であった。

 2)感染推定場所,作業内容

 感染推定場所と作業内容に関しては未記載の例も多いが,農地,山地における農作業,山林作業が多く,山地,野原での行楽でも感染の機会がある(表3)。

 3)性別,年齢別患者発生状況

患者の性別による差は,39歳以下では男性の方がやや多い(表4)。年齢不明を除く総患者数中に占める60歳以上の患者数の割合は55%である。なお,1992年における割合は50%であった。

 4)つつが虫病診断法

血清診断は間接蛍光抗体法(IF)が764例,免疫ペルオキシダーゼ法(IP)が60例,補体結合反応(CF)が4例,ワイルーフェリックス反応(WF)が2例である。うち530名がつつが虫病と診断された。その他,臨床的に患者と診断され,届け出されたものは43例であった。



衛生微生物技術協議会検査情報委員会 つつが虫病小委員会
(事務局:予研感染症疫学部 坪井 義昌)


表1.1993年つつが虫病様患者調査票報告数(1994年6月末現在)
表2.1993年つつが虫病患者(1994年6月末現在)
表3.1993年つつが虫病患者(1994年6月末現在)
表4.1993年つつが虫病患者(1994年6月末現在)
表5.1993年つつが病様患者検査成績(1994年6月末現在)





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