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1990〜93年にかけて,ロンドン,その周辺都市,およびその隣接地域の妊婦のHIV感染率を調査した。方法は,40の産科施設から風疹抗体の検査に用いた残りの血清を集め,複数のEIAでHIV抗体を検査し,陽性と判定された検体について,ウエスタン・ブロット法でHIV-1とHIV-2の鑑別を行った。
合計で449,770検体が集められ,HIV-1抗体保有率は,ロンドンで0.23%,その周辺で0.011%,その他の地域では0.007%であった。HIV-2抗体は,ロンドンで採取された4検体のみに検出された。HIV-1抗体保有率は産科施設によって10倍以上の開きがあった。年齢別にみて最も抗体保有率が高かったのは,ロンドンの20〜30歳の妊婦であった(0.30%)。ロンドンでは,1990年の抗体陽性率は0.18%であったが,1993年には0.26%に上昇しており,この上昇は全年齢層で有意であった。
妊婦に対する自発的で守秘性のあるHIV検査を促進してゆくとすれば,HIV-1感染者の頻度が高かったロンドン市内の特定の産科施設に集中して行えば,費用効果は高い。
(CDSC,CDR,4,Riview,10,R115,1994)
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