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Vol.16 (1995/1[179])

<外国情報>
急性A型肝炎の流行調査−台湾


 1993年12月7日〜1994年1月11日に宜蘭県四季村の幼稚園児4名および小学生4名が急性A型肝炎の疑いで入院した。村には簡易水道設備があるが泉水のほうが使われている。便所は浄化槽なしに流すタイプが多く,家庭のゴミは直接溝に捨てている。

 村の9歳以下の子供に血清学的検査を行い,165検体中40例がIgM抗体陽性で,平均年齢は5歳であった。15例がIgM抗体陰性,全HAV抗体陽性で過去の感染を示唆していた。感染率は26.6%であった。

 幼稚園,小学校は水質検査に合格していたが,泉水を使っている患者宅4件中3件で大腸菌と総細菌数が基準を超えていた。血清採取時に実施したアンケート調査の結果,患者と対照群の間で居住地区,兄弟が病気になったかどうか,飲料水と便所の様式の項目において統計上有意の差があった。血清採取時に全員にガンマグロブリンを投与したが,その後新たに12名が入院し,2月の第4週になって患者発生は終息した。

 感染経路は4歳男児の初発患者から従姉が感染し,その弟および同級生へと広がったと考えられた。IgM抗体陽性者40名は21戸の家庭から出ており,2名以上の患者を出した家庭は11戸(51%)であった。HAV感染児の80〜90%は無症状であるが,今回の報告では42.5%(17/40)であった。

 予防策として上下水道の改善,衛生教育の強化,化学肥料の使用およびハイリスクグループへのワクチン投与を勧告している。

(台湾疫情報導,10,No.6,79,1994)






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