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1994年4月4日〜5月17日にかけて,常にワクチン接種を拒否する2つのコミュニティーの学生の間で,1992年以来米国で最大の麻疹の流行があった。14歳の“クリスチャン・サイエンス”高校の生徒が,当時麻疹が流行していたコロラドでスキーをした2週間後(4月4日)に発疹を呈した。この学生は,イリノイ州のジャージーにあるクリスチャン・サイエンス大学に関連したコミュニティーで家族と共に暮らしており,30マイル離れたミズーリ州セントルイスにあるクリスチャン・サイエンス校に通学していた。4月16日〜5月19日にかけて141名(1〜24歳)の麻疹患者がセントルイスの,49名(4〜25歳)がジャージーの保健局に報告された。全症例が臨床的に麻疹の診断基準に合致しており,いずれかの学校と関係していた。14例はIgM抗体の検出により確認された。全症例とも流行前にワクチン接種を受けていなかった。制圧のために,発疹を呈した者は隔離され,未感染者は自宅待機となり,麻疹ワクチンが高校,大学の学生および周辺地域住民に投与された。6月29日現在患者発生はみられていない。
このようなワクチン未接種集団は流行を繰り返し経験し,また感染拡大の焦点となる。今回の流行の舞台となった両校では1978,80,85,89年にも麻疹の流行を経験しており,85年の流行では3名が死亡している。1994年1月1日〜6月10日の間,イリノイ,ミズーリ,ネバダ,ユタ州の流行では,ワクチン接種を受けていない人が約50%を占めた。クリスチャン・サイエンスの教義は,医療自体を禁じてはいないが,多くの父母は宗教上子供へのワクチン接種の免除を求める。この流行中,多くの学生は登校するためにワクチン接種を受け入れたが,そうなったのは流行が確実となり,その重大性が明らかになった後である。
(CDC,MMWR,43,No.25,463,1994)
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