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1993年8月にイタリアのカステラバーテで3名の,10月にナポリで4名のB型ボツリヌス患者が発生した。国立公衆衛生局で調査した結果,共通原因食として市販の“焼きナスのオイル漬け”が疑われた。
カステラバーテの事例:サンドイッチ・バーのウエイトレス2名が嚥下困難,複視,便秘を訴え入院,ボツリヌス症と診断された。さらに1名のウエイトレスが嘔吐,消化不良症状を呈した。患者はいずれも焼きナスのオイル漬けを用いたサンドイッチを喫食していた。原因食の検査はできなかったが,2名の入院患者の便からB型ボツリヌス菌が分離された。患者はボツリヌス抗毒素で治癒した。
ナポリの事例:10月2日に夕食を共にした9名の家族のうち4名が,同月5〜6日ボツリヌス症の疑いで入院した。提供された食事について原因食を解析した結果,市販の焼きナスのオイル漬けが疑われた。患者にはボツリヌス抗毒素が投与された。前事例と同様に,原因食の調査はできなかった。また,患者血清中のボツリヌス毒素は陰性であったが,3名の患者の便からB型ボツリヌス菌が検出された。
原因食とされた焼きナスのオイル漬けはイタリアのみで販売されている製品である。製造工程中にpHのチェックはされていなかった。食中毒を起こしたのと同一ロットの119個について検査をした結果,ボツリヌス菌の胞子および毒素はともに検出されなかった。ただし製品の20%(24個)がpH4.6以上であった。衛生当局は警告と未使用製品の回収を指示し,その後の発生報告はなかった。
(CDC,MMWR,44,No.2,33,1995)
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