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BHFはアレナウイルス科マチュポウイルスにより起こる。ボリビアにのみ発生し,ウイルスの宿主は小齧歯類のCalomys callosusである。ボリビアで病原診断がなされた症例は,コカバンバでの1971年の流行が最後のものであるが,1975年には臨床疫学的にBHFとみられる流行がマグダレナ周辺であった。1976〜92年には流行の報告はなかったが,1993〜94年にサンラモンで数例の疑似症例が発生していた。
今回(1994年7〜8月),マグダレナ(人口約4,300人)でBHFの流行があった。初発患者は29歳の男性で,その家族7人中5人,および親類2人が発症した。症状は発熱,筋肉痛,出血傾向,神経症状等である。7人中6人が死亡し,調査した5名の検体全てからマチュポウイルスが分離された。最初の症例はマグダレナ郊外で感染したらしく,市内に戻って9日後に発症した。その間,家族との接触により流行が広がったと考えられる。この流行前後,マグダレナではBHF症例はなかった。この後,コカバンバで34歳男性が典型的なBHFで9月5日死亡した。9月3日にはサンラモンの52歳の農夫が出血熱症状で入院,リバビリン投与で回復した。感染があった地域では齧歯類の駆除が行われるとともに,C. callosusを捕獲し,マチュポウイルスの検査が試みられている。
(WHO,WER,70,No.3,16,1995)
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