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Vol.16 (1995/4[182])

<国内情報>
日本脳炎:ブタ感染状況と患者発生状況 1994


 ブタ感染状況

 1)感染のはじまり

 1994年のブタ感染は,沖縄北部では6月7日に,沖縄中南部では7月5日に50%を超えた。その後は,中南部では北部に比べあまり活発ではなかった。沖縄以外では,7月上旬に和歌山で80%,三重で50%を超え,7月末までには滋賀,京都,徳島,愛媛,高知,大分,宮崎も加わり,10府県が50%を超える近年にない活動がみられた。

 2)感染の広がり

 8月以降も感染は極めて活発で,8月末段階で九州,四国および近畿全府県,島根,鳥取,岡山各県,愛知を除く中部全県,さらに埼玉,千葉に感染が広がった。日本脳炎の終期である10月までに,屠場で検査されたブタの50%以上に日本脳炎ウイルスの感染がみられた府県は,図に示したように41府県に及んだ。青森,山形,東京の3都県は50%には及ばなかった。感染が全くみられなかったのは北海道,岩手,栃木の3道県であった。

 日本脳炎確認患者(表)

 1994年厚生省保健医療局エイズ結核感染症課を通じて集計した全国都道府県からの日本脳炎患者個人表を集計した結果,1994年の日本における日本脳炎確認患者総数は,ブタの日本脳炎ウイルス感染が活発であったにもかかわらず4名で,3年連続しての1桁台にとどまった。患者は男性1名女性3名で,死亡例はなかった。県別では群馬,新潟,兵庫,熊本各1名であった。

 患者の年齢階層別では,40歳代,50歳代,60歳代,70歳代各1名であった。転帰は,全治および軽快各1名,後遺症2名,予防接種歴はいずれも不明であった。



予研ウイルス第一部
北野忠彦 矢部貞雄


図 1994 Oct.
表 1994年日本脳炎確認患者(日本脳炎患者個人票による)





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