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1994年6月30日,オクラホマ州在住の47歳男性が進行性の眩暈,視力障害,言語不明瞭,嚥下困難,吐気を伴った亜急性症状でアーカンソーの病院に入院した。下垂症,外眼麻痺,顔面神経麻痺,口蓋反射衰弱,咽頭反射障害が認められ,膝の表在性創傷の不完全な治療を受けていた。患者は呼吸不全を起こし,人工呼吸装置を取り付けた。
創傷および食品によるボツリヌスと診断され,ボツリヌス抗毒素が静脈投与された。筋電図検査でボツリヌス症に対応する反応が示された。創傷検体の嫌気性培養ではClostridiumは陰性だったが,7月5日に採取した糞便材料からA型毒素が検出され,ボツリヌス菌も培養された。患者は49日間入院していたが,うち42日間は人工呼吸装置を付けていた。
患者の発症前24時間以内の喫食調査から,自家製の緑豆の缶詰およびローストビーフとポテトが入ったシチューを食べていたことがわかった。緑豆の残品の検査ではボツリヌス毒素は陰性であったが,シチューからはA型毒素が検出された。このシチューは調理後,重い蓋をされ,喫食まで再加熱されることなく3日間放置された。患者以外にこのシチューを食べたものはいなかった。
(CDC,MMWR,44,No.11,200,1995)
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