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米国では年間,Streptococcus pneumoniaeによる髄膜炎が3千,菌血症5万,肺炎50万,および急性中耳炎7百万事例の発生が報告されている。1980年代半ばからペニシリンが肺炎球菌感染症の治療抗生物質として選択されてきたが,ペニシリン耐性肺炎球菌が世界的にかなり増加傾向にある。カナダでは1974年に初めて報告され,1977〜1990年間の調査ではペニシリン耐性肺炎球菌の割合はアルバータ,オンタリオおよびケベックでそれぞれ2.4%,1.5%および1.3%であった。1993年6月〜12月および1994年3月〜6月に,トロント病院および南オンタリオ周辺で収集した菌株について,ペニシリン耐性菌の増加状況を調査した。
122株は私的機関,80株は病院の緊急施設から,計202株(196株は喀痰などの非侵襲部位から)を検査し,16株(7.9%)がペニシリン耐性(4株は高度耐性)であった。このうち11株は外来の子供の眼,耳,喀痰由来で,5株は緊急施設の成人の喀痰,血液,髄液,眼材料からのものであった。
一般にペニシリン感受性菌株は他の抗生剤にも感受性であるが,ペニシリン耐性肺炎球菌はテトラサイクリン(63%),ST合剤(56%),エリスロマイシン(50%),セフロキシム(38%)に耐性であった。16株のペニシリン耐性株中4株(25%)がセフトリアクソンに高度耐性で,ペニシリン高度耐性株はセフトリアクソン耐性4株中3株に見られた。すべての株はバンコマイシンおよびイミペネムに感受性であった。ペニシリン耐性肺炎球菌の血清型は19F(5株),9V(2),23F(2),6A,6B,19Aが各々1株,型別不明(4)であった。
(CDC,MMWR,44,No.11,207,1995)
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