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英国の検査室情報によると1982〜1992年の11年間に,Streptococcus pneumoniaeが血液から検出された患者数は22,567で,うち50.1%(11,299例)は65歳以上であった。また,同菌が髄液から検出された患者数は3,500で,うち29%(1,023例)は1歳以下の乳児であった。肺炎球菌による菌血症および髄膜炎の年間発生数は1982年の1,600から1992年の3,734に増加したが,同期間にはその他の細菌による菌血症患者も増加したので,肺炎球菌による発生の割合(平均10.7%)に大きな変動はみられなかった。肺炎球菌による髄膜炎は細菌性髄膜炎の18%であった。1990〜1992年に,血液のみからS. pneumoniaeが検出されたのは10,639名で,そのうち臨床診断名が報告されたのは45%,日和見感染は5%であった。髄液から同菌が検出された964名はすべて髄膜炎と考えられ,5%が日和見感染によるものであった。薬剤耐性に関する調査の結果,ペニシリン,エリスロマイシンおよびST合剤耐性S. pneumoniaeが増加したことが判明した。
耐性菌の増加傾向と高齢化社会の到来を控えて,肺炎球菌ワクチンの再評価が必要であろう。
(CDSC,CDR,5,Review,No.4,R45,1995)
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