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英国から旅行する人達に対するマラリアの予防法についてのガイドラインは1993年5月に出版されたが,新しい抗マラリア剤であるメフロキンに対する耐性マラリアが出現するなどによって新しいガイドラインが出された。
マラリアの予防法の基本は4つあり,まずマラリア流行地への旅行はすべてが危険であることを知っておくことであり,次いで蚊に刺されるのを防ぐこと,化学予防薬を服用し,発熱した者に対しては早期診断し治療を急いで行うことである。
マラリア流行地へ旅行する時は特定の化学予防薬が必須である。薬剤耐性熱帯熱マラリアの存在しない地域への旅行では成人の場合はクロロキンやプログアニールを,耐性のみられる地域ではメフロキンやプログアニール+クロロキン,マフロプリン+クロロキン,ドキシクリンを服用することである。また子供に対しては年齢を細かく分けて薬剤の種類と量を定めて服用することが規定されている。
マラリアによる死亡の多くは不完全服用である。化学予防薬は出発1週間前,薬によっては2週間前から服用し,帰国後4週間は薬を飲み続けることである。投薬される者が罹っている病気(腎不全,癲癇,無脾症等)によっては,薬剤の選択と量を変えるべきであり,妊婦は可能ならばマラリア流行地へ行くことを避けるべきである。
予防法は絶対に確実なものではない。したがって,マラリア流行地から帰国後1年間に起こる発熱やインフルエンザ様症状を呈す者に対しては十分にマラリアについての検査を行うべきである。
(CDSC,CDR,5,No.12,57,1995)
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