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Vol.16 (1995/6[184])

<外国情報>
髄液から検出されたBrucella melitensis−英国


 患者は3ヵ月前にソマリアから英国に移住してきた9歳児で,頭痛,嘔吐,発熱,複視の症状で受診した。当初は結核性髄膜炎を疑ったため,患者から採取した髄液(CSF)はバイオセーフティレベル3に従って安全キャビネット内で取り扱った。しかし,髄液培養の結果,チョコレート寒天培地に発育した微小コロニーとグラム陰性球菌,オキシダーゼ陽性のためナイセリアを疑い,通常の取り扱いに切り替え検査を続行した。薬剤感受性試験を実施したが,溶血寒天平板に発育せず(7%CO2存在下で培養),再検査でグラム陰性短桿菌,ウレアーゼ陽性と判明した。分離菌はブルセラセンターに送付し,Brucella melitensisと同定された。

 ブルセラは危険度分類でレベル3に属し,実験室感染の危険性が高い。本件では,検査の結果が出るまでの6日間,通常の実験室取り扱いを行ったため,患者材料と接触した検査技師ら11名にドキシサイクリンを予防投薬し,実験室感染は防がれた。

(CDSC,CDR,5,Review No. 4,R56,1995)






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