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1994年12月,エルサルバドルから持ってきた汚染食品によるコレラ家族内感染事例がインディアナ州で発生した。12月30日,インディアナの親戚を訪問したイリノイ州在住の56歳男性が,激しい水様性下痢,吐気,嘔吐を呈した。31日脱水と低体温症のため入院し,患者の糞便からコレラ菌エルトール小川型が分離された。患者は静脈内輸血および抗生物質投与を受け,1995年1月7日退院した。患者の妻も12月30日水様性下痢症状を呈したが,病原菌は分離されなかった。この夫婦は国外に旅行しておらず,また生の魚介類も摂取していなかった。12月29日,インディアナの26歳の娘を訪問し,18歳の息子と共に食事をした。食事の内容はパームフルーツ,パン,ホワイトチーズで,すべて2日前に親戚の者がエルサルバドルからインディアナに持ってきたものであった。娘と息子は下痢をしなかった。この家族4名の血清中のビブリオサイダール抗体は640倍以上を示し,ごく最近のコレラ菌感染を示唆したが,食事を取らなかった娘婿は抗体上昇が認められなかった。その食品を持ってきた親戚は米国滞在中は下痢をしてはいなかった。食品のエルサルバドルでの調理方法は不明であったが,パームフルーツは塩と酢に漬けた自家製の缶詰であったとのことである。検査に供すべき食品は残っていなかった。
(CDC,MMWR,44,No.20,385,1995)
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