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エンテロウイルスレファレンスセンター
1. 手足口病流行について
手足口病が大流行していることが報告され,主因ウイルスは何であろうかについて話し合った。分離されているウイルスはコクサッキーウイルスA16型が主であるが,抗原性が少し変異しているらしいという意見があった。プラック法による同定がより効果的であるようだ。しかし,これで細かい抗原性の変異といった分析には向かないかもしれない。現在,各地方衛生研究所(地研)で同定に使用している抗体は,レファレンスセンターから配布したもの,および各研究所で作製されたものなどが使用されていると思われるが,これらの使用結果,またはよりよい抗体の情報などを集約して,実験室診断をより早く確実なものにすることが肝要と考えられる。
2. 同定用エコーウイルス抗血清作製について
血清型が多いエコーウイルスの同定には,特異性のしっかりしたプール抗血清が不可欠である。多くの地研と予研とで抗血清を作製し,プール抗血清を作ることを昨年の山形県での研究会で決定し,この1年で抗体が出来上がり,現在抗血清のプール作業が進行中である。プールされた抗血清は各地研と予研でホモとヘテロの抗体価を測ったのち,実際に実験室診断に供される予定である。市販のものをよりよく改良してもらうべきだという意見も多かったが,待ちきれずに自分達の手でやることに踏み切ったものである。
エコーウイルスの血清型は,近年わが国でよく分離されてきた15(3,4,5,6,7,9,11,14,16,17,18,22,24,25,30の各型)を選んだ。抗原として標準株と,型によっては分離株を選んで用いた。これらの抗血清を6グループにプールしたシュミットプール型のものにした。抗血清作製にあたった研究所は以下の所在の地研(秋田県,宮城県,福島県,仙台市,横浜市,愛知県,大阪市,京都市,島根県,愛媛県,福岡県)と予研である。
配布方法については支部センターを通してお知らせする予定である。
予研・ウイルス第二部 萩原昭夫
溶連菌レファレンスセンター
1. 劇症型A群レンサ球菌感染症が注目されてきているが,日本での状況を恒常的に把握していくために,その情報を衛生微生物技術協議会の組織を通して集めていくのが望ましい。現在のところ,病原微生物検出状況報告書の中の「重要と思われる症例に関する情報」の項を利用して予研に集め,その結果を病原微生物検出情報を通して全国へ還元する体制に乗せる。
2. 当疾患の原因菌であるA群レンサ球菌のM型別およびレンサ球菌発熱毒素(SPE)は,疫学的マーカーとして重要と考えられるので,検査の要望があれば溶連菌レファレンスセンターおよび支部センターで協力し合い対応する。各センターで対応できるM型別は1,3,4,6,12,18である。SPE検出に関してはPCRおよびRPLA法がある。各センターは山形,神奈川,東京,富山,大阪,山口,大分の各地研,予研(細菌部)である。
3. 当疾患の原因A群レンサ球菌は予研に保存し,要求に応じて各地研に分与する。予研への菌の送付時には臨床所見を書いた調査票を同時に添付する。各センターに劇症型A群レンサ球菌感染症調査票が用意されているので利用していただきたい。
4. 当疾患の名称として厚生省研究班では,劇症型A群レンサ球菌感染症となりました。調査票はそれ以前に作成しましたので,劇症型A群溶連菌感染症となっています。
予研・細菌部 渡辺治雄
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