HOME 目次 記事一覧 索引 操作方法 上へ 前へ 次へ

Vol.16 (1995/9[187])

<外国情報>
麻疹,1994−米国


 1994年に958例の麻疹患者が39州からCDCへ報告された。これは1993年の312例(過去最低)に次ぐ数である。年齢の分かった患者954中247は5歳以下(うち73は12カ月以下,69は12〜15カ月),475が5〜19歳,232が20歳以上。ワクチン接種状況は,ワクチン接種適格者762例中171が少なくとも1回はワクチン接種を受けたが,539は未接種,52は接種歴不明だがおそらく未接種と考えられた。未接種の理由がわかった301例中294が宗教的・哲学的理由でワクチン接種をしていなかった。このうち92%がイリノイとミズーリ,ネバダ,ユタ州の集団発生に関係している。これら宗教/哲学上ワクチン拒否者は1994年の全症例中36%を占めた。疫学的分類が判明した949例中874は米国内由来。外国からの輸入例は75で,24州から報告され,輸入先はヨーロッパ(26),東アジア(18)などである。

 1994年は15州で22の集団発生があった(全例の74%)。8つの集発は学校・大学で,5つは学齢前の子供,9つは他の青年層で発生した。大学での最大の集発(94例)は1輸入例が発端であった。1994年最大の集発(247例)はコロラドのスキーリゾートで発症した初発例から9州へ広がった。この集発はイリノイとミズーリ州の宗教的ワクチン拒否学生を含んでいる。他の2集発(ユタ州ソルトレークシティー,ネバダ州)は哲学的ワクチン拒否者を含む。

 イリノイとミズーリ州で流行したウイルスの遺伝子解析により,これらウイルスはヨーロッパで流行し,最近米国へ輸入されたものであることが分かった。4集発および3単発例から得られた10株は4つの遺伝子型に分類された。これらはいずれも1989〜91年に流行した型とは異なり,輸入により米国へ入ってきたものと考えられる。

(CDC,MMWR,44,No.26,486,1995)






前へ 次へ
copyright
IASR