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シンガポールではHBs抗原キャリアは5%,HBV感染率は約25%である。STDとしてのHBV感染を調べるため,1990年9月〜92年6月にかけて,497名のSTD患者,47名のHIV感染者,418名の対照群にHBVの抗原・抗体検査を行った。HBV感染率はSTD患者が41.2%,HIV感染者が61.7%で,いずれも対照群の33.3%に比べて有意に高かった。HBV感染率は年齢と共に上昇し,非中国系に比べて中国系で高かった。リスクファクターは,同性/両性愛,肛門性交,3回以上のSTDの既往歴,10人以上の性的パートナー,梅毒検査陽性であった。ワクチン接種によりHBの母子感染が80%も減少したシンガポールでは,今後は西洋諸国同様,STDとしての感染が重要になる。HBV抗体陰性のSTD患者に対するワクチン接種が勧められる。
(Singapore ENB,20,No.12,67,1994)
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