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全国地方衛生研究所より送付された「つつが虫病様患者調査票」をもとに,1994年の全国におけるつつが虫病の発生状況の集計を行った。
1)つつが虫病の県別・月別発生状況
つつが虫病様患者調査票は22都府県,1指定都市の衛研から695件送付された(表1)。このうち,つつが虫病患者(抗体陽性および臨床診断により届けられたもの,表5参照)は478名であった(表2)。
1993年の患者数が573名に対して,94年は100名近くの減少となった。県別にみると秋田,長崎,宮崎,鹿児島では減少しており,福島,千葉,神奈川では増加していた。
年間20名以上の多発県は秋田,福島,千葉,神奈川,新潟,岐阜,大分,宮崎,鹿児島であった。
月別のつつが虫病発生状況をみると,東北地方と新潟県は5月を中心として4〜6月に多く,関東以西の県においては11月をピークとして10〜12月に多発しており,全国的にみると例年と同様二峰性の月別発生パターンを示していた。
2)感染推定場所,作業内容
農地,山地における農作業,山林作業による感染が多く,ついで山地等での行楽があげられた(表3)。これは例年と同じ傾向である。
3)性別,年齢別患者数
例年,つつが虫病発生において性別による差はみられないが,1994年には男性がやや多かった(表4)。また,年齢別では年齢不明を除く総患者数中に占める60歳以上の患者数の割合は50%であった。なお,1993年におけるその割合は55%であった。
4)つつが虫病の診断法
血清診断は間接蛍光抗体法(IF)が603例,免疫ペルオキシダーゼ法(IP)が44例,補体結合反応(CF)は6例である。うち436例がつつが虫病と診断された。その他,臨床的に患者と診断され,届け出されたものは42例であった。(表5)。
衛生微生物技術協議会検査情報委員会 つつが虫小委員会
表1. 1994年つつが虫病様患者調査票報告数(1995年10月末現在)
表2. 1994年つつが虫病患者(1995年10月末現在)月別・県別
表3. 1994年つつが虫病患者(1995年10月末現在)
表4. 1994年つつが虫病患者(1995年10月末現在) 性別・年齢群別
表5. 1994年つつが虫病様患者検査成績(1995年10月末現在)
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