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1991〜1994年に届けられたメリオイドーシス患者は185名(死亡85)であった。年齢分布は2〜88歳,罹患率の最も高かったのは45歳以上であった。男女比は5:1。患者は年間を通して散発的に発生した。主な臨床症状は発熱,咳,呼吸困難で,患者の28%に局所膿瘍がみられた。185名中150名(81%)に基礎疾患があり,糖尿病118名で最も多かった。基礎疾患の有無と死亡率とは無関係であったが,敗血症の場合の死亡率(61.9%)は敗血症でない場合(28.4%)に比べ有意に高かった。メリオイドーシスの診断は,89%(165名)が血液,膿,喀痰等からの原因菌(B. pseudomallei)の分離によった。分離菌はアンピシリンおよびセファレキシンに耐性であったが,その他のセフェム系も,テトラサイクリン系,クロラムフェニコールの各薬剤には感受性であった。1990〜93年に1,854名について間接血球凝集反応(IHA)による血中抗体価を測定した結果,4名が抗体陽性であった。本疾患は死亡率が高いので,標準的化学療法で治療困難な非定型的肺炎ではメリオイドーシスを疑うべきである。
(Singapore ENB,21,No.12,69,1995)
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