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Vol.17 (1996/10[200])

<外国情報>
Cryptosporidium parvum関連食品媒介下痢症の発生,1995−米国・ミネソタ


 1995年9月,ミネソタ州衛生部にイベントに出席した約50人に急性胃腸炎が見られたとの報告があった。電話等でのインタビューを受けた参加者26人中15人(58%)でイベント参加後14日以内(平均6日)に下痢(24時間に3回以上)が始まったことがわかった。症状は水様性下痢(100%),腹部痙攣(93%),悪寒(79%)で,4日(半日〜14日)続いた。診療を受けた3人の患者は急性胃腸炎のため外来で治療され,うち2人の糞便からは病原細菌や虫卵は陰性であったが,C. parvumについては検査されなかった。

 15人の患者と11人の対照群を調査した。患者15人すべてがチキンサラダを食べていたが,対照群の11人は2人だけが食べていた。チキンサラダはイベント主催者の女性が9月15日に作り,16日に食べるまで冷蔵されていた。彼女は当時下痢はしていなかった。回復7日後2人の患者から糞便材料を採取し,抗酸染色でオーシストならびにクリプトスポリジウムのsporozoiteを見出した。イベントには参加しなかったが,患者の配偶者の便が抗酸染色ならびに蛍光抗体法で陽性となった。チキンサラダは検査できなかった。

 C. parvum伝播は汚染された地表や地下水の摂取(Mac et al, 1994;Current and Garcia, 1991),プールなどの汚染水への暴露(Current and Garcia, 1991),動物と人との接触(Current and Garcia, 1991),人と人との接触(Current and Garcia, 1991)による。サラダが汚染されている場合,サラダは水分を含んでおり,冷蔵されるとオーシストは感染性を増すことになる。このような食品媒介のクリプトスポリジウム症はすでに生のアップルサイダーで起こっている(Millard et al, 1994)。食物中のC. parvumの最低量がID50=132個あれば伝播可能といわれる(DuPont et al, 1995)。

(CDC,MMWR,45,No.36,783,1996)






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