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V. vulnificusによる敗血症での致死率は50%を越える。免疫力の低下した人では汚染食品喫食後24〜48時間でV. vulnificus感染による発熱,吐き気,筋肉痛,激しい腹痛を起こす。事例の大部分は普通気候の温暖な月(4〜11月)の報告で,しばしば生カキの喫食と関係している。1993年4月〜1996年5月に16件のV. vulnificus感染がロサンゼルス郡で報告されている。これらの患者のうち12例は以前より肝臓病(アルコール摂取の習慣あるいはウイルス性の肝炎と関係がある)を患っており,すべて敗血症になり,発症1〜2日前に生カキを喫食していた。
事例1:1996年5月1日,38歳男性に発熱,悪寒,吐き気,筋肉痛の症状がでた。4月29日に小売店で買った生カキを自宅で喫食していた。5月2日に39℃の熱と左足の2ケ所の円形壊死病変により入院した。毎日ビールを飲み,インスリン依存性の糖尿病の病歴があったと述べた。5月3日V. vulnificusが入院患者の血液検体から分離された。5月4日死亡。
事例2:5月10日、46歳男性に発熱,発汗,吐き気の症状がでた。5月9日に小売店で買った生カキを自宅で喫食していた。5月11日に38.5℃の熱と黄疸,腹水により入院した。アルコール多飲とアルコール性の肝臓病の病歴があったと述べ,1995年に黄疸が1カ月間あり肝硬変であると診断されていた。5月12日死亡。V. vulnificusが入院時の血液と腹水検体から分離された。
事例3:5月20日,51歳の女性に発熱,吐き気,筋肉痛の症状がでた。5月19日にパーティーで出た生カキを喫食していた。5月21日に40.5℃の熱と両足の蜂巣炎により入院した。1982年に肺癌と診断され,1986年に慢性のC型肝炎になっていた。蜂巣炎から出血性の水泡病変に発展し,その後敗血症性ショックとなりICUに移された。5月22日死亡。V. vulnificusが入院時の血液と傷からの培養検体から分離された。
(CDC,MMWR,45,No.29,621,1996)
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