国立感染症研究所 感染症情報センター
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IDWR 感染症発生動向調査週報

第17・18合併号ダイジェスト
(2007年4月23日〜5月6日)

 発生動向総覧


*2007年4月からの法改正に伴い、疾病の追加および並び順を一部変更しました。

全数報告の感染症

〈第17週コメント〉 5月7日集計分

注意:これは当該週に診断された報告症例の集計です。しかし、迅速に情報還元するために期日を決めて集計を行いますので、当該週に診断された症例の報告が集計の期日以降に届くこともあります。それらについては一部を除いて発生動向総覧では扱いませんが、翌週あるいはそれ以降に、巻末の表の累積数に加えられることになります。

*感染経路、感染原因、感染地域については、確定あるいは推定として記載されていたものを示します。

1類感染症: 報告なし
2類感染症: 結核 200例
3類感染症: コレラ1例(感染地域:インド)
細菌性赤痢3例(感染地域:すべてインド)
腸管出血性大腸菌感染症25例(うち有症者17例、HUSなし)

感染地域:千葉県3例、石川県3例、奈良県3例、大阪府2例、福岡県2例、大分県2例、群馬県1例、埼玉県1例、東京都1例、愛知県1例、和歌山県1例、山口県1例、徳島県1例、佐賀県1例、長崎県1例、鹿児島県1例
年齢群:10歳未満(16例)、20代(2例)、30代(1例)、40代(1例)、50代(1例)、60代(3例)、70代(1例)
血清型・毒素型:O157 VT2(14例)、O157 VT1・VT2(7例)、O157 VT1(1例)、O103 VT1(1例)、O165 VT1・VT2(1例)、その他/不明(1例)


パラチフス1例(感染地域:バングラデシュ)
4類感染症: A型肝炎4例〔感染地域:福島県1例、長崎県1例、中国1例、国外(国不明)1例〕
コクシジオイデス症1例(感染地域:千葉県.感染経路:実験室感染)
つつが虫病4例(感染地域:青森県1例、秋田県1例、島根県1例、広島県1例)
デング熱1例(感染地域:インドネシア)
ブルセラ症1例(感染地域:大阪府)
マラリア1例(三日熱_感染地域:パプアニューギニア)
レジオネラ症 9例(すべて肺炎型)

年齢群:30代1例、60代2例、70代5例、80代1例
感染地域:北海道2例、静岡県2例、兵庫県1例(温泉)、和歌山県2例(うち1例温泉)、国内(都道府県不明)2例

レプトスピラ症1例(感染地域:フィジー)
5類感染症:
アメーバ赤痢9例(腸管アメーバ症8例、腸管外アメーバ症1例)

感染地域:国内4例、タイ3例、フィリピン1例、ギリシア1例
感染経路:経口4例、性的接触4例(異性間2例、同性間1例、異性間・同性間不明1例)、不明1例

ウイルス性肝炎2例〔ともにB型_感染経路:性的接触(異性間)1例、不明1例〕
急性脳炎2例〔ともに病原体不明(1歳、5歳)〕
クリプトスポリジウム症1例〔感染地域:国内.感染経路:性的接触(同性間)〕
劇症型溶血性レンサ球菌感染症1例(80代)
後天性免疫不全症候群8例(無症候6例、AIDS 1例、その他1例)

感染地域:すべて国内
感染経路:すべて性的接触(異性間3例、同性間5例)

ジアルジア症1例(感染地域:タイ)
梅毒7例(早期顕症I期4例、晩期顕症1例、無症候2例)
破傷風1例(50代)

(補)他に、ブルセラ症1例、ジアルジア症1例、梅毒1例の報告があったが、削除予定。また、報告遅れとして、細菌性赤痢4例〔感染地域:国内(都道府県不明)1例、ベトナム2例、インドネシア1例〕、腸チフス1例(感染地域:インドネシア)、急性脳炎1例〔麻疹ウイルス(10代)〕、劇症型溶血性レンサ球菌感染症1例(30代)、バンコマイシン耐性腸球菌感染症2例(遺伝子型:ともにVanC_菌検出検体:血液1例、胆汁1例)などの報告があった。


定点把握の対象となる5類感染症(週報対象のもの)

全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患により小児科定点(約3,000 カ所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000カ所)、眼科定点(約600カ所)、基幹定点(約500 カ所)に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です。
過去5年間の同時期との比較

インフルエンザ:定点当たり報告数は第12週以降減少が続いているが、過去5年間の同時期(前週、当該週、後週)と比較してかなり多い。都道府県別では秋田県(20.2)、岩手県(18.9)、沖縄県(14.1)、青森県(13.8)、北海道(13.3)が多い。

小児科定点報告疾患:RSウイルス感染症はは304例の報告があり、報告数は増加した。年齢別では、1歳以下の報告数が全体の約72%を占めている。咽頭結膜熱の定点当たり報告数は3週 連続で増加した。都道府県別では島根県(1.26)、石川県(1.03)、富山県(0.86)、山形県(0.83)が多い。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は3週連続で増加し、過去5年間の同時期と比較してやや多い。都道府県別では富山県(5.0)、鳥取県(5.0)、北海道(4.0)、宮崎県(3.9)が多い。感染性胃腸炎の定点当たり報告数は微増し、過去5年間の同時期と比較してやや多い。都道府県別では福井県(22.1)、鳥取県(15.7)、大分県(13.9)、宮崎県(13.4)が多い。水痘の定点当たり報告数は増加し、過去5年間の同時期と比較してやや多い。都道府県別では宮崎県(4.3)、愛媛県(3.7)、鹿児島県(3.3)、沖縄県(3.3)が多い。手足口病の定点当たり報告数は3週連続で増加した。都道府県別では熊本県(1.5)、佐賀県(1.4)、鹿児島県(1.4)が多い。伝染性紅斑の定点当たり報告数は増加し、過去5年間の同時期と比較してかなり多い。都道府県別では富山県(3.3)、石川県(2.1)、北海道(1.8)が多い。百日咳の定点当たり報告数は微減した。都道府県別では沖縄県(0.15)、石川県(0.07)、千葉県(0.05)が多い。風しんの報告数は2週連続で増加した。都道府県別では静岡県4例、埼玉県、神奈川県、大阪府から各2例、北海道、東京都、山梨県、愛知県、兵庫県、奈良県、福岡県から各1例の報告であった。ヘルパンギーナの定点当たり報告数は第14週以降増加が続いている。都道府県別では熊本県(0.54)、山口県(0.37)、広島県(0.32)、長崎県(0.32)が多い。麻しんの報告数は20都府県から103例の報告があり第13週以降増加が続いている。都道府県別では埼玉県、千葉県から各16例、東京都11例、栃木県8例、神奈川県、徳島県、鹿児島県から各6例、宮城県、長野県、香川県から各5例、山梨県4例、茨城県3例が多い。流行性耳下腺炎の定点当たり報告数は第14週以降減少が続いている。都道府県別では宮崎県(1.5)、秋田県(1.3)、新潟県(1.3)が多い。

基幹定点報告疾患:マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は減少したが、過去5年間の同時期と比較してかなり多い。都道府県別では埼玉県(2.7)、沖縄県(2.3)、群馬県(1.3)、大阪府(1.3)が多い。成人麻しんの報告数は23例と減少した。東京都15例、群馬県3例、岩手県、福島県、神奈川県、長野県、香川県から各1例の報告があった。

〈第18週コメント〉 5月9日集計分

注意:これは当該週に診断された報告症例の集計です。しかし、迅速に情報還元するために期日を決めて集計を行いますので、当該週に診断された症例の報告が集計の期日以降に届くこともあります。それらについては一部を除いて発生動向総覧では扱いませんが、翌週あるいはそれ以降に、巻末の表の累積数に加えられることになります。

*感染経路、感染原因、感染地域については、確定あるいは推定として記載されていたものを示します。

1類感染症: 報告なし
2類感染症: 結核 67例
3類感染症: コレラ1例(感染地域:インド)
腸管出血性大腸菌感染症23例(うち有症者9例、HUSなし)

感染地域:奈良県4例、山口県3例、千葉県2例、石川県2例、大阪府2例、 福岡県2例、佐賀県2例、埼玉県1例、新潟県1例、国内(都道府県不明)2例、ジャマイカ1例、国外(国不明)1例
年齢群:10歳未満(5例)、10代(3例)、20代(6例)、30代(4例)、40代(2例)、50代(1例)、60代(1例)、70代(1例)
血清型・毒素型:O157 VT2(12例)、O157 VT1・VT2(7例)、O103 VT1(2例)、O26 VT1(1例)、その他/不明(1例)

腸チフス1例(感染地域:フィリピン)
4類感染症: つつが虫病2例(山形県1例、長野県1例)
レジオネラ症 6例(すべて肺炎型)

年齢群:30代1例、70代3例、80代1例、90代1例
感染地域:埼玉県1例、東京都1例、静岡県1例、大阪府1例、福岡県1例(温泉)、長崎県1例

5類感染症:
アメーバ赤痢 4例(腸管アメーバ症2例、腸管外アメーバ症2例)

感染地域:国内2例、中国1例、スペイン/フランス1例
感染経路:経口2例、性的接触(異性間)1例、不明1例

後天性免疫不全症候群4例(すべて無症候)

感染地域:国内3例、国内・国外不明1例
感染経路:すべて性的接触(異性間1例、同性間3例)

梅毒3例(早期顕症I期2例、無症候1例)
破傷風1例(70代)
バンコマイシン耐性腸球菌感染症1例(遺伝子型:不明_菌検出検体:便)

(補)他に、報告遅れとして、細菌性赤痢1例(感染地域:ベトナム)、バンコマイシン耐性腸球菌感染症4例(遺伝子型:VanC 1例_菌検出検体:血液、遺伝子型不明3例_菌検出検体:全て尿)などの報告があった。


定点把握の対象となる5類感染症(週報対象のもの)

全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患により小児科定点(約3,000 カ所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000カ所)、眼科定点(約600カ所)、基幹定点(約500 カ所)に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です。
過去5年間の同時期との比較

インフルエンザ:定点当たり報告数は第12週以降減少が続いているが、過去5年間の同時期(前週、当該週、後週)と比較してかなり多い。都道府県別では秋田県(13.7)、岩手県(10.7)、沖縄県(9.4)、北海道(8.1)、青森県(6.4)が多い。

小児科定点報告疾患:RSウイルス感染症は239例の報告があり、報告数は減少した。年齢別では、1歳以下の報告数が全体の約73%を占めている。咽頭結膜熱の定点当たり報告数は減少 した。都道府県別では島根県(0.57)、広島県(0.50)、岡山県(0.48)、山形県(0.47)、石川県(0.45)が多い。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では富山県(2.6)、宮崎県(2.6)、埼玉県(2.4)が多い。感染性胃腸炎の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では福井県(13.2)、徳島県(9.1)、島根県(8.7)、大分県(8.4)が多い。水痘の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では宮崎県(4.6)、沖縄県(3.9)、鹿児島県(3.0)が多い。手足口病の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では熊本県(0.90)、佐賀県(0.83)、鹿児島県(0.77)が多い。伝染性紅斑の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では石川県(1.6)、富山県(1.6)、岩手県(1.2)が多い。百日咳の定点当たり報告数は2週連続で減少した。都道府県別では奈良県(0.03)、沖縄県(0.03)が多い。風しんの報告数は減少した。都道府県別では茨城県3例、岩手県、宮城県、千葉県、東京都、神奈川県、岐阜県、大阪府、鹿児島県各1例の報告であった。ヘルパンギーナの定点当たり報告数は減少した。都道府県別では島根県(0.43)、広島県(0.31)、熊本県(0.25)が多い。麻しんの報告数は減少したが、18都道府県から88例の報告があった。都道府県別では埼玉県24例、東京都14例、千葉県9例、北海道7例、大阪府6例、徳島県5例、栃木県、神奈川県各4例、山梨県、鹿児島県各3例が多い。流行性耳下腺炎の定点当たり報告数は第14週以降減少が続いている。都道府県別では秋田県(1.11)、高知県(0.93)、新潟県(0.84)が多い。

基幹定点報告疾患:マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は2週連続で減少したが、過去5年間の同時期と比較してやや多い。都道府県別では沖縄県(4.6)、福島県(1.4)、静岡県(1.3)が多い。成人麻しんの報告数は25例と増加した。東京都18例、宮城県、山形県、栃木県、神奈川県、山梨県、大阪府、高知県から各1例の報告があった。



 注目すべき感染症


→ 第17週は速報として公開しました。記事へ

◆ 麻しん(第18週)

麻しんは麻しんウイルス(Paramyxovirus科Morbillivirus属)によって引き起こされる感染症であるが、空気感染(飛沫核感染)、飛沫感染、接触感染と様々な感染経路を示し、その感染力は極めて強い。また、特異的な治療法はなく、カタル期・発疹期を合わせると1週間以上高熱が続き、入院率や肺炎、脳炎、中耳炎などの合併症発生率が高い疾患である。従来より春季を中心とした流行がみられているが、今回の関東地域における流行においても度々報告がみられているように、入学(園)式、始業式、入社式等の、大勢の感受性者が一堂に会するような行事は特に要注意である。麻しんに罹患し、一度典型的な麻しんを発症した者は、通常は終生免疫が獲得され、再び麻しんを発症することはない(「麻疹の現状と今後の対策について」 参照)。

図1. 麻しんの年別・週別発生状況(1997年〜2007年第18週) 図2. 麻しんの都道府県別累積報告状況(2007年第1週〜第18週) 図3. 麻しんの報告症例の年別・年齢群別割合(2000〜2007年第18週)

感染症発生動向調査によると、全国約3,000カ所の小児科定点からの麻しんの報告数は、第18週は18都道府県から88例(定点当たり報告数0.030)と前週の103例(定点当たり報告数0.035)よりも減少したが、2004年以降では前週(第17週)に次いで高い値であった(図1)。都道府県別では埼玉県24例、東京都14例、千葉県9例、北海道7例、大阪府6例、徳島県5例、栃木県、神奈川県各4例、山梨県、鹿児島県各3例、長野県2例、茨城県、群馬県、新潟県、京都府、兵庫県、和歌山県、大分県各1例の順であり、埼玉県、東京都、北海道、大阪府等では、前週よりも報告数の増加がみられている。2007年第1〜18週までの小児科定点からの累積報告数は476例であり、埼玉県133例、東京都78例、千葉県51例、神奈川県34例、大阪府22例、栃木県18例、鹿児島県15例、茨城県、愛知県各14例、徳島県11例、宮城県、長野県各10例、北海道、兵庫県、香川県各8例の順となっている。関東地域を中心とした麻しんの流行は全国に拡大しつつある(図2)。累積報告数の年齢別割合では、0〜1歳児の報告割合は30.0%と依然として高いものの、0〜4歳の報告割合は41.4%と例年と比べて低く、かわって10〜14歳の報告割合が33.2%と例年に比べて高い状態が継続している(図3)

図4. 成人麻しんの年別・週別発生状況(1999年〜2007年第18週)

図5. 主要都道府県における成人麻しんの報告の週別推移(2007年第1週〜第18週)

図6. 成人麻しんの都道府県別累積報告状況(2007年第1週〜第18週)

全国約450カ所の基幹定点からの成人麻しん(届出対象は15歳以上)の報告数は25例(定点当たり報告数0.055)となり、前週の23例(定点当たり報告数0.051)よりも増加した(図4)。都道府県別では東京都18例、宮城県、山形県、栃木県、神奈川県、山梨県、大阪府、高知県から各1例の報告であり、東京都からの報告数は前週の15例よりも更に増加した(図5)

2007年第1〜18週までの累積報告数は155例であり、都道府県別では東京都71例、神奈川県19例、埼玉県12例、長野県10例、宮城県9例、群馬県6例、茨城県5例、大阪府4例の順であり、全報告数の約46%が東京都からの報告であるが、より広範な地域から報告されるようになってきている(図6)。累積報告数の年齢別割合では、20〜24歳(36.8%)、25〜29歳(21.9%)、15〜19歳(20.0%)、30〜34歳(12.9%)となっており、20代からの報告割合は更に増加傾向にある(図7)

図7. 成人麻しんの報告症例の年齢群別割合(2007年第1〜18週)

第18週(4月30日〜5月6日)はゴールデンウィーク期間中に当たり、ゴールデンウィーク期間中は、定点として患者報告を行っている大半の医療機関では期間内の多くの日が休診日となるために、受診患者数そのものが減少し、毎年定点疾患として報告されているほとんどの感染症ではその報告数が大きく減少している。しかし、本年の小児科定点からの麻しんの報告数は、前週よりもやや減少しているものの、報告数の多い埼玉県、東京都、北海道、大阪府等ではかえって増加がみられている。また、基幹定点からの成人麻しんでは東京都の報告数の増加に伴って、かえって報告数の上昇がみられている。これらのことから、現在の麻しんの流行はゴールデンウィーク期間中においても衰えてはおらず、今後とも流行が継続もしくは拡大していく可能性が高いと考えられる。成人麻しん発生の増加を反映して、既に複数の高校、大学、専門学校における麻しんの集団発生事例が報告されている。年長者は乳幼児と比べるとその行動範囲は広く、従来よくみられていた保育園、幼稚園における麻しんの集団発生事例と比較すると、周囲への麻しんウイルスの拡散という点ではより広範囲に感染拡大する可能性が高く、麻しん発生例に対してはより迅速に対応する必要があるものと考えられる。また、現在医療機関には最近になく多数の麻しん患者が受診しているものと思われ、医療従事者が麻しんウイルスに曝露・感染する危険性も高まっているものと推定される。万が一医療従事者が麻しんを発症したままで勤務した場合、その影響は非常に大きなものとなることは言うまでもない。学校、施設、医療機関等においては、感染症情報センターホームページ上に掲載されている麻疹対策マニュアル(「医療機関での麻疹の対応について」、「保育園・幼稚園・学校等での麻しん患者発生時の対応マニュアル」)等を参照の上、迅速な対応をしていただくことが望まれる。

麻しんウイルスはヒトのみに感染し、ヒトからヒトへと感染伝播する。感染力はきわめて強く、唯一の予防手段はワクチン接種であるが、その有効性は高く、かつての天然痘のように、疾患そのものの世界的な撲滅も不可能ではないといわれている。実際に欧米諸国をはじめとする多くの国々では、麻しんは既に『排除』が達成された疾患であり、我が国においても2001年のような大規模な流行を2度と繰り返すべきではなく、2012年までに国内からの『排除』を目標としている。そのためには、国内における地域的な流行は積極的に阻止されなければならない。学校、施設等においては1例でも麻しん患者が発生した場合に迅速に適切な対応を実施することが望まれる。加えて、現在の流行下においては麻疹ワクチン未接種で麻しん未罹患の方は、至急ワクチン接種を受けるべきである。また、従来の麻しん流行の中心である乳幼児における患 者発生の増大を阻止するために、1歳早期(1回目)と小学校入学前1年間(2回目)のワクチン(麻疹・風疹混合ワクチンもしくは麻疹ワクチン)のより積極的な勧奨が重要である。

以下に、麻疹関連情報として感染症情報センターのホームページに掲載されている主な項目とそのURLを挙げる。麻しん対策として活用いただければ幸いである。

麻疹
□緊急情報
□関連情報(注目すべき感染症/速報「麻しん」、医療機関での麻疹の対応について、保育園・幼稚園・学校等での麻しん患者発生時の対応マニュアル)
□国内情報(麻疹の現状と今後の麻疹対策について、我が国の健常人における麻疹PA抗体保有率、他)
□病原微生物検出情報[IASR]麻疹特集

麻疹発生DB(データベース)
●予防接種の話「麻疹」
年齢別麻疹、風疹、MMRワクチン接種率
●感染症の話「麻疹」
●「麻疹・風疹ワクチンなぜ2回接種なの?」ポスター
●「麻疹風疹混合ワクチンを1歳のお誕生日のプレゼントにしましょう」ポスター
●「小学校入学準備に2回目の麻疹・風疹ワクチンを!」ポスター
●2006年度第2期麻疹・風疹ワクチン接種に関する全国調査−2006年10月1日現在中間評価−


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