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Vol.1 (1980/4[002])

<連絡事項>
Vibrio cholerae O1欄,ヒト以外の記載の除外について(書式3.病原菌検出状況報告書)


 本菌の検出は社会的に問題になるところですが,検体数を計上すべきか,汚染の原因の数で計上すべきか,或は菌の性質が異った場合にそれぞれの数を計上するのか,統一がとりにくいので,今後の報告については,下記のようにとりきめました。



 菌種名 Vibrio cholerae,01欄については,動物,食品および環境由来の分離菌株数を記載する必要はない。即ち,ヒト由来の検出菌株数を記載するにとどめる。01以外(いわゆるNAG Vibrio)については従来通りすべての由来の検出数を記載する。



 参考(日本のワクチンp.231)

 コレラ菌  この菌は一端一毛のグラム陰性,無芽胞の通性嫌気性桿菌である。Vibrio cholerae(Pacini,1854)に分類され,この範ちゅうにはコレラ菌と生化学的性状を同じくする多くの類似ビブリオが含まれ,それらはO抗原による血清型によって細分類される。コレラ菌はそのうちの血清型1に該当し,他の類似ビブリオはそれ以外,2以下の血清型に分類される。いずれの血清型も共通の鞭毛抗原を持つ。後者,類似ビブリオはNAG(nonagglut inable)ビブリオと呼ばれることもある。このうちのあるものには病原性があり,コレラ菌の産出するエンテロトキシンとよく似た毒素を産出し,コレラ様の激しい下痢症の原因となる。小規模な流行を起すこともあるが,検疫伝染病の対象とはされていない。

コレラ菌のO抗原には3つの部分抗原があり,その量的構成に従って小川型,稲葉型,および両者の中間型である彦島型に分けられる。また,古くからインド地方に常在する古典的(またはアジア型)コレラ菌とはやや生物学的性状を異にし,1960年来の流行の原因となったものをエルトール型(biotypeel tor)と呼ぶ。






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