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Vol.1 (1980/7[005])

<外国情報>
サル痘ウイルスが痘瘡の流行源となり得るか?


 制限酵素を利用するウイルス遺伝子分析はオルソポックスウイルスの種,株,変異株の鑑別に偉力を発揮している。この方法によりサル痘(monkey pox),痘そう,ワクチニア,牛痘,マウス痘(ectromelia)の各ウイルスは各々別個の種であることが明らかにされた。

 サル痘の変異株がwhite poxまたは痘そうウイルスと共通の生物学的性質をもっていると報告されたことがあるので,21コの変異株のゲノムを上記の方法で分析した。その結果ゲノムの変異はみとめられたものの,いずれもサル痘の範囲を逸脱せず,種の境界を越えることは容易には起こらないと結論された。したがって実験室内で得られるサル痘変異株ウイルスが痘そう根絶後,これに代るものとして脅威を与えることはあるまいと思われる。

(WHO/SE/80・154)






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