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JEは最近東南アジアや西太平洋地域で数千の患者発生がみられ,致死率が高く,また新しい地域に拡大しているために公衆衛生上問題になっている。JEコントロールに関する作業部会が1983年12月19〜21日東京に招集された。
疫学:最近10年間にJE疫学像に変化がみられる。JEは新地域に拡大し,また過去にエンデミックであった地域で時にドラマティックな形で流行している。韓国は発生が低かったが,1982年に突然再現した。ネパ−ルでは1978年以降平野地域で新たに主要疾病となっている。南インドでは数十年来局地的にエンデミックだったが,1978年初めて北部のネパール隣接地域に流行している。日本は1966年以降ベクターの減少と3〜15歳の広範なワクチン接種によって発生はまれになった。中国では各地に拡がっていて,年間患者発生1万人以上,致死率10%が報告されている。タイでは増加していて,発生は北および北東地域に集中し,攻撃率と致死率は子供が高い。ビルマでは毎年100以下の報告で大部分部族の子供である。数ヶ国では年長者に病気の移行がみられるが,それ以外では全年齢に発生している。流行像がなぜ変化したかわからない。気候,免疫,農業形態の変化,社会経済状況の変化等が関係しているかもしれない。
サーベイランス:流行国および同一生態学的環境にある近隣国のサーベイランスを強化すべきである。
a.ウイルスの生存と伝播を助ける疫学的および生態学的因子の継続的モニターと分析
b.蚊の濃度とJE感染率,さらに増幅動物の集団の大きさと抗体保有率のモニター
c.WHO規準によるJE患者の報告
d.抗原性分析のため低継代歴ウイルス株の収集
e.JEウイルス株と血清材料に関する情報交換
正確かつタイムリーなサーベイランスを実施する施設に基本的に要求されるのはJEの診断と早期患者発生を認知する能力である。IgM capture ELISAが血清および髄液の検査に利用できる。約80%のJE患者がこの方法で入院時診断しうる。作業部会は,IgM capture ELISA標準診断キットの開発,ワークショップの開催,国内標準ラボラトリーの指定に努力するようWHOに要請した。
不活性ワクチン:ホルマリン不活性ワクチンが日本・中国で長年,また韓国で最近使われている。日本−韓国はマウス脳,中国は初代ハムスター腎を用いている。作業部会はWHOにワクチン規準の作成と標準品の確立を考慮するよう求めた。各国のワクチン力価は国際(WHO)抗原単位を用いて測定することが望ましい。その上でWHO主催で野外試験が実施できよう。
生ワクチン:弱毒生ワクチンがブタ,ウマ,ヒトに使用された。ワクチンは日本でブタ用に開発された。中国ワクチンはヒトで野外試験が広範になされている。WHO共同研究では一連の単クローン抗体に対する反応性,RNAフィンガープリント法,温度感受性およびハイブリダイゼーション等に基いて解析されよう。
WHO協力センタ−ネットワークの協力のもとに,東京アルボウイルスレファレンスセンターが上記研究の中心となる。
(WHO,WER,59,bS,21,1984)
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