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105国(世界人口の78%)から報告が得られている。少数のポリオ常在国がもれている。情報の質は信頼できる結論を導くのに十分とはいいがたいが,それほど差のあるものではないだろう。総患者数は年間32000(前年35000)で減少したとはいえない。多くの流行国はワクチン投与の努力をしているが努力不足の国もある。
データは主に衛生局規定のルチーン届出システムによっている。多くの国の情報内容はポリオ麻痺後遺症による判定である。ルチーンシステムは発生の15%のみしか検出しないという調査結果があるので,この修正を世界的に適用すると,世界の年間ポリオ患者数は少なくとも20万になる。
これら情報収集が単に世界的傾向を知るためだけの目的では価値がない。ポリオは特にワクチンによって阻止しうる病気である。ワクチン供給計画のためにはモニターシステムが必要であり,接種率が直接役立つとしても,プログラムの効果は最終的には疾病の発生率の変化によって最も適切に評価される。発生をすばやく探知する情報収集システムは有効な調査活動を可能にする。これによりワクチン投与で流行阻止が可能となるし,またワクチン供給の効率のための情報がえられる。サーベイランス機能の向上はワクチン行政の進歩である。
上記の日常的報告以外の方法として,断続的身体欠陥調査と定点報告機関の利用がある。ポリオの後遺症は特定の施設で治療されるので,ここが症例を集める定点となりうる。施設は来診数を反映するから普遍化はできないが,この種の情報は診断が信頼でき,また一貫性がある。
(WHO,WER,58,50,385,1983)
Poliomyelitis in 1982
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