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ヒツジのChlamydia psittaciによる流産は,1936年にスコットランドで初めて報告された。ヒトの流産は1967年と最近では1982年に報告されている。1983年春,比較的重症の呼吸器感染が1地域で多数みられた。患者はすべて鳥類との接触を否定しているが,少なくとも4例はヒツジ由来,他の1例はシカからの感染が示唆されている。症状はしつこい咳を伴うインフルエンザ様疾患で,4名は羊飼いである。彼らの1名は,雌羊に流産の増加はなかったが子羊に肺炎の増加があったことを述べている。他の1名は保護者管理室で妊娠シカの剖検を行っていた。これらのうち1例は血清中のIgGの蛍光抗体法による測定で,ヒツジChlamydia psittaciに対し128×を示した。患者の幾人かはオキシテトラサイクリンで処置されたが回復は遅く,咳が残った者もあり,また,1名はまだ嗜眠を訴えている。状況証拠であるが,疫学および血清学的事実はヒツジおよびシカからの感染を示唆するものと思われる。IgM測定の結果が待たれている。
(WHO,WER,59,10,73,1984)
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