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1980〜1983年の期間,感染症サーベイランスセンタ−は,イングランド,ウェールズ,アイルランドの検査室から計15,806例の赤痢菌感染症の報告を受けた。一方,1984年は12週にしてすでに,1,625の症例が報告されている。1971年の9,833から1980年の2,907に至るまで,赤痢は年々減少してきたが,その後は逆に上昇を示しているのである。
原因菌型の大部分はS. sonneiであり,1980年の70%から1984年の88%にと年々上昇傾向にあり,それに比して次位のS.flexneriは現在11%にまで減少した。S. boydiiとS. dysenteriaeはそれぞれ1%以下である。
集団発生544が1980〜1984年の間に記録されており,うち457がS. sonneiによるものであり,のこり87が他の菌型による。375が家族内での複数発生であるが,これは社会におけるより大きな集団発生の部分をなしているものであろう。
就学前,あるいは小学校の児童における発生頻度がそれに続いているが,これも生活社会における大きな流行の部分として発生したものであろう。検査室情報ではなく,患者情報としても1980年以来患者数はふえつづけており,年間それぞれ,2,709,3,401,2,850,そして6,011となっている。また,死亡者数はそれぞれ4,6,2,4である。
(CDR,84/12,1984)
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