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Vol.5 (1984/8[054])

<国内情報>
日本脳炎について


 今年も日本脳炎発生シーズンを迎えたが,当課では今後,全国各都道府県,指定都市における日本脳炎患者発生状況およびブタの血清抗体価陽性率をおおむね旬報の形で報告していく予定である。

 なお,疑似患者は臨床的に日本脳炎と診断されたものであって,血清学的,ウイルス学的診断により他の疾患として診断されれば転症という形になる。真性患者は血清学的,ウイルス学的に日本脳炎ウイルス感染の診断がついたものである。

 一方,ブタ情報は昭和41年度から流行予測事業の一環として実施されており,と畜場のブタ血清の日本脳炎ウイルスに対するHI抗体価を測定するとともに,その抗体の2−メルカプトエタノール感受性(2ME)を測定して,新鮮感染かどうかを調べるものである。ブタは日本脳炎ウイルス伝播の増幅器と考えられており,本事業のブタの抗体価調査は,日本脳炎ウイルスの侵淫度の指標となり,本ウイルスの汚染の警報の有力な手段を提供している。

 (1) ブタ情報

沖縄県北部ではHI抗体価が96%と上昇し,さらに2MEの陽性率がすでに74%に達している。同様に中南部ではそれぞれ58%,50%となっている。沖縄県以外では,HI抗体価の上昇傾向はまだ認められない。(註 第2報でも2ME陽性率は北部71%,中南部50%である。)

 (2) 患者情報

 現在までに疑似患者が和歌山県で1名(死亡),長崎県で1名報告されている。日本脳炎患者は,47年以降100人を割り,52年には4人になったが,53年には75人に増加した。昨年は一昨年に比べ2人増加して27人,死者9人となっている。多い都道府県順に述べると,熊本県6人,山口県4人,和歌山県3人,栃木県,三重県,大阪府各2人,茨城県,千葉県,東京都,愛知県,兵庫県,奈良県,広島県,福岡県各1人となっている。



厚生省保健医療局感染症対策課


全国日本脳炎情報 bP,2 昭和59年7月24日作成 厚生省保健医療局感染症対策課 2ME感受性抗体陽性検出地区のみ抜粋





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